2リンク柔軟ロボットアームを基本構造とし,アーム先端のハンドからボールを投げる運動を実現する解析モデルを確立し,シミュレーションによって部材の弾性特性とボールの初速度の関係を調べた.23年度は二つの正弦半波関数の組み合わせにより,テイクバックとスローイング動作を実現できる入力トルクパターンを採用し,実現可能な最大トルク値のもとでシミュレーションを実施した.24年度は,アームの剛性の影響も同時に考慮した最適計算を実施した.最適化にはParticle Swarm Optimization の手法を用い,Genetic Algorithm による結果との比較も行った. 実験に関しては,23年度までの補助金で導入したサーボモーターを用いて試作を行った.第1リンクを剛体アーム,第2リンクを複合材料で補強した柔軟アームとし,先端には人工筋アクチュエータで開閉できるボール把持機構を取り付けた.これらは,いずれも本研究において開発した構造と機構である.シミュレーションと試作機の運動特性の比較を行い,試作機に固有の摩擦の影響を補償するアルゴリズムを考案し,シミュレーションで得られた最適駆動トルクを入力して多くの動作データを獲得した.その結果,線形化した解析モデルのシミュレーションは,ボール放出後の運動で実験結果と大きな違いが生じるが,非線形モデルの結果は実験結果とよく一致することが分かった.最適化後のボール速度とエネルギー効率を,剛体アームを想定したシミュレーション結果と比較したところ,本研究で提案する機構がより効率的であることが確認できた.しかし,強い非線形を伴う運動となるため,局所最適解に陥る場合があるため,今後は効率的にグローバルが最適解を獲得する手法を開発する必要がある.
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