製鉄所内の転炉やヘリコプターで容器をつり下げて液体を運搬する場合などのように,回転運動を自由に許すように支持した容器を,本研究では振り子型容器と呼ぶ.このような容器では,容器の振り子運動と内部の液体振動との連成振動が生じる.これら容器内の液体を,迅速かつ安全に,運搬するためには,この連成特性を明らかにする必要がある.特に液体振動や振り子運動は非線形特性を有するため,この非線形性が与える影響も十分把握しなければならない.そこで本研究課題は,振り子型容器内液体の揺動特性を解明することを目的とする. 研究期間の最終年である本年度は,容器内液面揺動と振り子運動を支配するである非線形性に特に着目して,研究を行った.まず,昨年度までに作成した振り子型容器を用いて,正弦波での加振実験を行った.最低次モードの固有振動数と2次モードの固有振動数の中間の振動数で,共振点時とほぼ同程度の大きさの振幅応答が現れる現象を確認した.この実験で,得られた時刻歴波形を周波数分析結果から,励振振動数以外の振動数成分が含まれることが分かり,この振動が概周期振動であることを確認した.さらに,昨年度までに得られた非線形運動方程式系を用いて,上記実験と同様のパラメータで計算を行い,周波数分析結果から励振振動簾数以外の成分の成長や,時刻歴応答をポアンカレマップ上で表すと閉曲線が得られるなど概周期振動の特徴が現れていることを確認した.最後に,3年間の研究結果を概観し,振り子型容器の揺動特性を明らかにした.
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