研究概要 |
本研究では,部分的に液体の入った長方形断面容器が斜め水平方向(励振方向α)に正弦励振される系を対象とし,液面スロッシングの(1,0)モードと(0,2)モードの固有振動数の比が1:1の内部共振条件が満たされる場合,液面スロッシングの非線形挙動について調べた.理論解析では,2つの優勢なモード(1,0と(0,2)に加え7つの高次モードを考慮して,スロッシングに対するモード方程式を導いた.これらのモード方程式にvan der Polの方法を適用して,スロッシングに対する共振曲線を解析的に求めた.数値計算による共振曲線,および数値シミュレーションによって,励振方向,容器断面のアスペクト比,および液位が共振曲線に与える影響について調べた.その結果を以下にまとめる. (1)α=0°の場合,励振変位により(1,0)モードだけが直接励振されるが,オートパラメトリック共振により,特定の励振振動数範囲で(0,2)モードも発生し,その結果,液面には右回りまたは左回りのスワール現象が発生する.また,共振曲線の一部の分枝でホップ分岐が起こり,カオス振動を含む振幅変調現象が発生する. (2)α≠0°の場合には長方形断面の奥行方向にも励振外力は働くが,直接(0,2)モードは対称モードであるため励振変位によって直接励振されない.そのため,励振方向αが0°から90°に変化するにつれ,(1,0)モードの振幅が小さくなるため,オートパラメトリック共振による作用も小さくなり,(0,2)モードの振幅も小さくなる.αが90°に近づくにつれ,(0,2)モードは発生しなくなり,α=90°の場合には(1,0)モードも振動しなくなる. (3)液位が比較的深い場合,長方形断面容器の奥行が小さくなるにつれ,(1,0)モードと(0,2)モードの固有振動数の比が1:1:から変化し,オートパラメトリック共振が発生する範囲が広くなる.
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