ヒューマンサポートに関する研究は、少子化・高齢化の傾向の中で今後とも重要な社会課題である。中でも高機能で汎用的な介助機器の開発は非常に重要である。現在、介助機器は個々の使用者に合わせて、オーダーメイドすることが一般的であるが、機器の普及や低価格化を考えれば機器の製作や調整方法を少しでも改善する必要がある。この研究は、介助機器に使用者の状況に合わせた自動補正機能を付加して、介助機器の高度化を図るものである。今年度はアーム型ロボットへの指令情報を抽出するために、操作者の表面筋電位を使用した筋骨格系制御パラメータ同定装置のハードウエアの設計と製作、及び予備実験を伴った情報処理アルゴリズムの検討を行った。また、表面筋電位の測定箇所の検討に加え、測定方法の改良を行いながら生体情報の抽出を実施した。加えて、小規模な神経系モデルの再検討を行い、制御機器への応用を前提とした神経系モデルの自動生成方法やそのモデルの有効性をシミュレーションで確認して、良好な結果を得た。次年度は筋電位の情報の他に、心電位の情報も加え、一般的な環境で信号を測定するための雑音適応フィルタの提案・開発を行い、(1)心電位や表面筋電位情報を用いた身体内部にある制御系パラメータ(むだ時間や伝達ゲインなど)の非襲侵計測方法の確認。(2)制御パラメータをオンラインで同定して、その変化を追跡及び評価する方法の確立。(1)と(2)を基礎として、日常生活の環境下でパラメータ同定を安定して実行できる技術を検証する。なお(1)の情報処理アルゴリズムについては、ソフトウエアを改良および製作中であり、計画のとおり、必要に応じて次年度も改良プロセスを実施する予定である。
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