研究概要 |
本研究の対象は原子力発電機用タービンおよび風力発電用のタービンに代表される長翼を持った回転体である.本研究の目的は,このような発電用の超翼構造と,回転軸や架台などの支持構造との連成振動メカニズムの解明を行うことで,連成振動の観点から,安全設計手法および安全運転評価指標を開発する.具体的にはこれまで研究されていなかった翼振動と軸曲げ振動の連成モデル導出とシミュレーションを行い,簡易実験装置による検証実験を行う,平成22年度は主に縮小モデルの導出と簡易実験装置による実験を行った. 1. シミュレーション用縮小モデルの導出:翼軸連成モデルの振動解析を数値シミュレーションする場合,FEM解析の手法を用いる方法もあるが,回転体の力学モデルに適用すると一般の計算機では解析に時間がかかる.そこで,翼を回転軸の解析ソフトに適用できる形式に変換する(モデルの縮小化)手法を開発した.これにより,回転軸に対して円周上に均等に配置された単独翼を1自由度の質点にモデル化することができ,回転軸の解析ソフトに挿入することで,翼と軸の連成を考慮したモデルを簡単に作成することができるようになった. 2. 簡易実験装置による回転試験:これまで準備してきた単独翼を軸に8本均等に取り付けた実験装置にて,回転試験を実施した.実験条件として,タービン翼はアルミ板で模擬し,3種類の取り付け角度(軸に対する翼の角度)を準備した.回転軸の振動は変位センサで,アルミ板の振動はひずみゲージで測定し,回転数の上昇とともにそれらの周波数変化を記録した.回転軸単体,または,アルミ板単体の振動で予測される周波数とは異なる特徴の周波数が計測され,翼と軸の共振が確認された.平成23年度は主に1.で開発された簡易モデルによる数値解析と2.の実験結果の比較を行う予定である.また,磁気軸受を用いた回転軸の加振を予定している.
|