本研究では,人間と作業環境を共有する人間共存型ロボットの物理的接触リスクの暴露頻度評価を定量的に行う手法の研究を行ってきた.提案手法では,高度に発達した人間共存型ロボットは,人間と同じ道具を用い,同じ作業形態で動作を行うものと考え,人間共存型ロボットに求められる作業を人間が行い,その動作を計測することによって物理的接触リスクへの暴露頻度評価を行う. 平成24年度は,昨年度までに製作した人体運動計測システムを用いて,複数の異なる協調作業を行う作業者(二名,一名はロボット役)の動作計測実験を行った.実験では,お互い手の届く範囲内で,個別に組立て作業を行う場合や,協調して組立て作業を行う場合を同時並行して,あるいは交互に行わせた.また,作業を行う人間とロボット役の人間の身体の最短距離とそのサンプリング毎の相対接近速度の平均値を用いて,物理的接触リスクへの暴露頻度評価を行う評価方法を定式化し,上記の実験データを用いて暴露頻度評価を行った.これは,距離が近い程,危険事象の発生確率が高く,また,接近速度が速い程,回避が困難になると考えられるからである.異なる作業間での暴露頻度評価を比較した所,ロボット役の人間の動作と協調作業を行う人間との活動領域が重なる大きさ,及び通過時間が少ない程,暴露頻度が低いことが示された.また,同時並行して協調組立てを行う場合が,最も暴露頻度が高くなることが確認できた.これらは,あらかじめ想定した定性的評価と一致しており,上記の定式化の有効性を確認することができた.本手法は,新規性の高い人間共存型ロボットのリスク評価を定量的に行う手法を提案するものであり,今後の実用化にあたって必要不可欠であると考えている. 上記の成果をまとめて,投稿論文の執筆中である.
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