本研究は、生物の構造と運動を模倣する多機能高性能水中ロボットを開発することを目的とする。新しい人工筋肉材料である圧電繊維を水中ロボットの胴体やヒレなどの構造体に埋め込み、生物の構造と運動を模倣した高性能(多自由度運動、高速、高効率)水中ロボットを開発する。 本年度では、解析ツールANSYSを用いて圧電繊維と構造体材料(アラミド繊維、カーボン繊維など)からなる簡単なな複合推進機構のシミュレーションモデルを作成し、その複合機構の動的な特性および圧電繊維に電圧(ひずみ)を与える場合の構造物の運動を解析できるようにした。また、弾性体モデルで表現される圧電繊維推進複合機構の、静止流体中におけるアクチュエーションを強制振動とし、弾性体と流体の間の相互作用による機構の駆動特性を近似的に解析できるようにした。簡単モデルについてシミュレーションの結果と実験の結果を比較し、モデルの改善を行った。 アジ型の推進機構のシミュレーションを行い、アジ型魚ロボットの構造体を設計した。実際にロボットの試作を行い、フォースゲージ、ハイスピードカメラを用いて構築した計測システムによりその性能を評価した。駆動制御方法の検討を行い、魚ロボットの最大推力、最大速度および魚類の高効率な運動の指標となるストローハル数について評価した結果、高速・高効率のロボットを実現できたことが分かった。 さらに、上記のシミュレーションツールを用いて、1次元的な推進運動から2次元的な推進運動に拡張し、平面的な推進運動が可能な平面推進機構とそのアクチュエーション方法を解析した。解析結果により簡単なロボットを試作し、実験によりその有効性を示した。
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