本研究では、ユーザが簡単に多種多様な仕上げ作業を行えるロボットシステムの実現を目指し、作業実行時に必要な情報を工具とワークに分散配置し、作業実施時にそれらを組み合わせることで、個々の作業に適した力制御系の構成、パラメータ設定等を行ったロボット作業動作プログラムを自動生成するシステムの構築を目的としている。 本年度は、以下の3項目を実施し、所期の目標を達成した。 (1) (株)IHIの協力を得て、実際の現場における各種仕上げ作業の実施状況を調査し、現場のニーズ、ロボット化への適用性等を評価し、本研究の対象作業として面取り作業を選定した。また、当該作業の熟練作業者による作業状況を観察し、その作業動作解析結果に基づき、ロボットによる実現方法の検討・構築を行った。 (2) 対象作業に設定した面取り作業について、環境に分散配置した情報を利用して、当該作業を行うロボットシステムを構築するための、工具・ワークに持たせる情報とその仕様、全体の枠組みの形態を、具体的なデータに基づいて検討・設計した。 (3) 次年度以後に実施する、評価試作システムの構築に向け、6軸力覚センサを備えた産業用ロボットと卓上据置型両頭グラインダよりなる予備実験装置を設けて、工具押付け量と面取り量の関係等、工具・ワークに持たせる情報の作成・評価、および作業全体の流れを確認するための予備実験を実施した。また、金属製のワークや工具に情報を持たせるためのデバイスとして、金属対応RFIDタグの選定・評価を行ったが、金属対応RFIDタグの読み取り性能が使用条件によって大きく異なることがわかり、タグとアンテナの適切配置等も含めた情報貼付・取得方法の検討を行った。 以上の成果は、平成23年9月開催の日本ロボット学会学術講演会にて発表する予定である。
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