本年度は主にシステムの有用性と海外との安定的な遠隔操作を実現させるため,マイクロマニピューションシステム(MMS)と,人工的に通信時間の遅延を生じさせるネットワークエミュレータであるWlineeを用いて複数の実験を行うとともに,それと並行して多次元的に微小力を検出できるセンサを用いたMMSの性能評価実験を実施した.まずWlineeを用いた実験において,その性能を評価するために様々なモードの時間遅延を創出し操作者側に与える影響を確認した.その結果,Wlineeは遠隔操作システムの評価を目的として汎用性の高いソフトウェアであることを確認した.次にMMSの性能評価実験では,走査型電子顕微鏡の中で,供試材であるシリコンゴムの動摩擦係数の計測を実施した.その結果,公称値に非常に近い計測値を得られることができたことから,力覚センサの性能が極めて高いことが立証された.これによって従来の計測方法では困難な微小領域の表面摩擦の計測を行えることが確認できた.また,追従精度実験においては非常に精度の高い追従性を2つの実験から確認することができた.最後に遅れを発生させた環境下での遠隔操作では3軸の力に対してのフィードバックを確認することができた. 本年度の主たる研究成果は,2012年11月にマレーシアで開催されたMJIIT-JUC Joint Symposium において口頭発表により報告されている.
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