研究概要 |
シリコンウエハを材料としフォトリソグラフィーを施すMEMS技術に粉末冶金を基本とする積層セラミック技術を導入することによって、電磁誘導型パワーMEMS素子を研究開発する。MEMS技術においては、平面の組み合わせを基本とするので、巻線構造を伴う電磁誘導方式の適用は不利とされていた。本研究においては、磁性体セラミック内部に巻き線導体を形成することのできる積層セラミック技術を適用し、MEMSによる困難点を克服する。具体的には、3mm程度の立方体にMEMS技術によるエアタービンと積層セラミック技術による磁気回路を組み合わせ、圧搾空気によって発電を行う小型電磁誘導型MEMS発電機の開発を目的とした。 本テーマ開始以前には、MEMS技術によって形成したエアタービンのローター部に円板状の永久磁石を貼り付け、銅線をエアタービン全体に巻きつけるという構造をとっていた。3mmの大きさで、発電を確認しているが、磁束漏洩により、発電効率が著しく低いことが問題となっていた。 開始年度の本年度は、積層セラミック技術により磁性体と巻き線構造を一体化することができ、これまでの問題となっていた漏洩磁束を低減することができた。具体的には、1.MEMSによるタービン部分と、低温焼成フェライトと銀導体とからなる積層セラミック磁気回路を用いた小型発電機における方式も含めた設計、試作、2.積層セラミック磁気回路素子の異形高寸法精度化の検討、3.MEMSと積層セラミック素子の一体化の検討をそれぞれおこなった。その結果、外形寸法3.6×3.4×3.5mmで発電機を作りこみ、0.28MPaの圧搾エア注入時に、回転数は約58,000rpm、出力1.92μVAを得た。
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