光ファイバ先端にマイクロセンサ及びアクチュエータを製作するためのマイクロ光造形法に関する研究を以下の4件のテーマに分けて実施した。尚、当初予定していたマイクロ洗浄機に関する研究については、前年度に得られたデータとあまり変わらなかったので、それ以上、深く検討することをやめ、センサに関する実験を優先した。 1)光ファイバ先端側面でのマイクロ光造形法による造形とエッチングを組み合わせ中空円筒の構造物を製作し、パルス変調したレーザ光の光熱効果により縦振動型の熱波を用いたマイクロ粘度センサを製作した。特性は光トラップしたポリスチレンラテックス球にその熱波を照射し、球の振動振幅を測定することで評価した。低周波での振動を確認したが、共振現象は確認できなかった。低周波での振幅特性から粘度を決定できる可能性がある。光トラップの共振現象を確認することができなかった原因は、共振周波数が実験装置の限界(1MHz)を超えていることによるものと思われる。 2)光ファイバ先端断面でのマイクロ光造形法により扇形形状のマイクロ振動子を製作し、光駆動による振幅の周波数特性を測定した。1Hzで10μm、10Hzで1μmの振動振幅が得られており、密度及び粘度測定のためのマイクロセンサとして十分使用可能である。 3)光ファイバ先端断面でのマイクロ光造形法により中空円筒の構造物を製作し、光駆動による熱波により、光トラップしたポリスチレンラテックス球を飛ばした。ラテックス球の移動速度を測定することにより液体の粘性係数を測定できることを示した。光トラップと光駆動アクチュエータを組み合わせて粘性係数を測定する手法は本研究で得られた新しい知見である。 4)光ファイバ先端に光造形法によりマイクロキャピラリーを固定した光熱駆動振動型アクチュエータを改良し、10mWのレーザ出力で200μmという前年度の八倍の変位を得ることができた。
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