研究課題
平成23年度は引き続き実験データの蓄積と数値解析を進め、(1)線材形状と反磁性効果の関係を明らかにした。さらに22年度の数値解析で得られた知見と合わせて(2)反磁性効果を大幅に低減できるコイルの設計手法の構築を行った。■線材形状と反磁性の関係超伝導膜に生じる磁化電流ループの大きさは線材の幅によって決まる。したがって、幅の狭い線材を使用するか、超伝導膜にスリットの入った多芯線材を使用すれば磁化電流のループを小さくすることができ、その結果コイルの反磁性効果の低減が期待できる。したがって、同じコイル形状で、線材の種類を変えて複数のコイルを制作し反磁性効果の強さを実験的に比較し、反磁性の低減効果を検証した。多芯線の場合には芯線同士の問を結合電流が流れ、これが磁場の時間的安定度に悪影響を及ぼす可能性がある。これに関しては数値解析も合わせて検討した。■反磁性効果の低減コイル形状・線材形状と反磁性効果の一般的な関係が実験・数値解析により明らかになれば、それをもとに反磁性効果を大幅に低減することの出来るコイル設計が可能となる。例えばMRIにはコイル中心付近に10-6の精度の磁場が必要であり、従来の超伝導線材を用いてこの精度を実現するコイル設計手法は確立されている。この従来の設計方法に、本研究で明らかにした観点を新しく取り入れることで、反磁性効果を大幅に低減して必要な磁場の精度を実現できるコイル設計が可能となった。
1: 当初の計画以上に進展している
線材形状と反磁性の関係、ならびに反磁性効果の低減に関しては大型コイルに至るまで十分に設計が可能なレベルとなっている。
線材形状と反磁性の関係ならびに反磁性効果の低減、およびコイル制作過程における特性劣化に関しても原因特定から劣化防止策までの成果を得ることを目指していく。
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