研究課題
本年度は(1)ELF帯電磁波動観測装置環境の整備、(2)冬季雷観測キャンペーン、(3)観測データの初期解析及び結果の発表が行われた。まず、(1)では電通大での観測システムの調整後、7月下旬に熊本県阿蘇に水平磁界2成分連続観測装置を設置し、テスト観測を開始した。しかしながら、ほどなく近雷のためにセンサーが故障し観測がストップした。そこで、システムの再調整後2月下旬に雷活動を避けるため、観測点を鹿児島県垂水に移動し再設置を行いテスト観測が再開している。(2)では本年度の冬季は既存の北海道母子里1のみでELF帯電磁波観測、スプライトの光学観測を、東京、岡山、仙台の3地点から同時に行い、また対応する落雷データの一部は世界雷探知網(WWLLN)を用いている。現在データの解析中であり、中間圏発光現象の発生位置とともに、対応する落雷特性の物理的解明を行っている。(3)九州での観測点設置前から、2観測点(北海道母子里、伊豆(現在稼働していない))のELFトランジェントのデータから落雷位置及び対応する電荷モーメントの導出を試みた(学会にて発表)。今回夏季に取得された九州熊本と北海道のトランジェントデータより落雷電荷量マップの作成を試みている。初期解析として、事例解析の結果が学会にて発表され、気象衛星や上述のWWLLN等により観測された雷雲の位置に本手法により同定された落雷イベントが発生していることが確認され、対応する落雷電荷モーメントの導出に成功した。また今後の課題等も明らかとなり、同一イベントの同定方法、イベント検出のための閾値、さらにSN比を改善するため、使用する周波数範囲や背景の局所的なノイズ(主に電力線からの基本及び高調波)の除去等の検討を行っている。最後に、2観測点での観測点間を笹ぶパス付近の落雷位置の標定精度の向上のため、新たな観測点の設置を行うための検討が行われた。
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