研究課題/領域番号 |
22560266
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
芳原 容英 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (10303009)
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研究分担者 |
早川 正士 電気通信大学, 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター, 客員教授 (80023688)
太田 健次 中部大学, 工学部, 教授 (10131161)
鳥家 秀昭 津山高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (40311071)
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キーワード | 電気・電磁環境 / 落雷電荷量マップ / 自然現象観測・予測 / 自然災害 |
研究概要 |
本年度は(1)ELF帯電磁波動観測ネットワークの充実、(2)雷観測キャンペーンの実施、(3)観測データの解析及び、研究成果の発表が以下の様に行われた。(1)では、鹿児島県の名古屋大学垂水観測所に移設し、テスト観測を行った。その結果、電力線からの放射強度が比較的大きいものの、日本周辺の雷放電に伴うELFトランジェントの取得は十分可能であることが確認された。新たな問題点として、観測室内の電圧低下によるUPSの動作不良等があったが、名古屋大学による電力供給量の改善措置のおかげで解決した。また、センサー小屋からのケーブルの埋設工事も完了し本格運用の準備はほぼ整った。尚、交会法における落雷標定精度向上のための3点目の設置場所として三宅島を選択し、テスト観測に向けた島内の具体的な候補地を検討中である。(2)では、本年度は夏季雷、冬季雷ともに総合観測を実施した。具体的には、上記2点でのELF帯電磁波の連続観測、調布、津山(岡山)での中間圏発光現象やブルージェットの光学観測、また高周波数帯(VHF)での観測を行った。(3)では、母子里、垂水観測点の3月期のデータを用いた交会法による落雷位置及び、電荷モーメントの時空間分布の導出に成功し、統計的な解析も行った。また、本研究による落雷位置の標定精度をWWLLN(世界雷探知網)用いて評価し、おおむね良好であることが確認された。さらに、北陸の風車、鉄塔への落雷電流観測による電荷量と、対応する雷により発生したELFトランジェントデータから計算された落雷電荷モーメントとの比較の結果、両者に比例関係が見られたが、落雷のタイプにより定量的な差が顕著であることも確認された。また、観測キャンペーンから中間圏発光現象の公会法による発生位置の3次元分布が導出され、電離層擾乱の実測値と数値計算結果の間に良い一致が見られた。上記の研究成果はまる国内及び海外の学会にて発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に沿った研究内容(1)から(3)(研究実績の概要参照)の遂行がおおむね順調にすすんでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
まず、観測ネットワーク関連では、既存の北海道母子里、九州垂水に加え3点目である三宅島へのELF帯観測システムの設置を至急に実施し、公開法による雷位置決定精度の国内均一化を図る。 次に、風車鉄塔への落雷イベントを新たに入手し、雷タイプ別に実測値とELF電波による推定値との比較検討を行う。さらに、本年度国宇宙ステーションへ打ち上げ予定であるGLIMSミッションと地上観測網による同時観測を行う予定である。
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