研究概要 |
新たなエネルギー需給のパラダイムシフトに対応できる電気エネルギーマネジメントシステムの構築を目的として,(1)電力情報ユビキタスの基本となる分散型電力情報IDチップの開発と機能標準化,(2)不確実な潮流変化に自律分散的に対応できる電圧マネジメントシステムの構築,(3)電力情報に基づく設備形成のリスク-クオリティマネジメントなどについて研究する.本年度の成果は下記の通りである. 1)小型分散型電力情報IDチップの開発と機能標準化: これまでの研究資産を生かして,標準化に向けた電力情報IDチップの改良を行った.ハードウェア開発については,既に開発したプロトタイプシステムの改善を図ることで試作機の諸機能をモジュール化し,モジュール毎に機能標準を策定した.また,ソフトウェア開発については,配電系での設置,需要家内での設置を想定した場合の機能について点検し演算アルゴリズムの改良を実施した. 2)不確実な潮流変化に対応した自律分散型電圧マネジメントシステムの構築: 系統全体を複数のグリッドから成るサブシステムに分割し,分割された領域ごとに情報を集約,各電圧・無効電力制御機器の制御感度を算出することによって,領域間の協調をはかるシステムを構築するため,電力情報IDチップによる動的インピーダンス推定による電力系統リアルタイムモデリングを実施した. 3)電力情報に基づく設備形成のリスク-クオリティマネジメント: 配電系統の等価モデルを用いて,電力情報IDチップと需要家における電力用コンデンサ設備を用いた電圧制御への応用効果について定量的に解析し,需要家設備での投資効果について検討した.
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