研究概要 |
本年度は配電用マトリックスコンバータと基本構成の設計を行った。電力変換器には三相4線-単相3線型マトリックスコンバータを用い,その基本動作特性について検討を行った。その結果,三相-単相電力変換では,本質的に三相側に電源周波数の2倍の電力脈動が生じるため,電源電流に3倍の周波数の高調波および逆相電流が重畳されるため,これを補償するためのアクティブフィルタが必要である事がわかった。そこで,直流リンク電圧の仮想中性点に零相を接続し,高調波及び零相電流の補償が可能なアクティブフィルタを補償装置として用いることとした。アクティブフィルタの設計を行い,このシステムを用いて三相4線-単相3線型マトリックスコンバータが発生する高調波及び逆相電流に起因する零相電流の補償が可能であることをシミュレーションによって確認した。また,本マトリクスコンバータが発生する逆相電流および高調波電流は,マトリクスコンバータを3台,出力位相を120度ずらして重ね合わせることにより,互いに打ち消すことが可能となることをシミュレーションにより確認した。また,入力電圧が変動しても,一定の出力電圧を維持できることを,シミュレーションにより確認した。さらに,マトリックスコンバータ及びアクティブフィルタの動作を実機により確認し,次年度これらを接続することで,高品質な電力を負荷に供給する配電システムの構築に関する知見を得た。本年度の成果より複合型スマートグリッドシステムを構築する際の要となるマトリックスコンバータの動作について,基本的な動作確認を行うことが出来,実用化に関する多くの指針を得,次年度予定している模擬系統の接続が可能であるという知見が得られた。
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