研究概要 |
昨年度は,マトリックスコンバータの基本的な動作を確認した。本年度は電圧が変動する弱い電力系統において,マトリックスコンバータが安定に動作するかをシミュレーションにより確認した。入力電圧が変動しても,マトリックスコンバータの出力電圧を検出し,これをフィードバックすることで,常に出力電圧を一定に保つことができることをシミュレーションにより明らかにした。 また,マトリックスコンバータには電流の転流を確実に行うための「転流確保時間」が必要であるが,これが出力電圧をひずませる大きな要因となっていた。そこで転流のシーケンスを見直し,転流確保時間を短縮することにより出力電圧波形が大きく改善できることをシミュレーション及び時期試験により確認した。 本システムでは負荷が平衡である場合,3台のマトリックスコンバータを並列に動作させることで,系統に流れる高調波電流を大幅に減少させることができるが,負荷が不平衡な場合,これを保証するためのアクティブフィルタの容量が大きくという問題が発生する。そこでマトリックスコンバータの制御方式を見直し,受動フィルタとアクティブフィルタを併用することにより,アクティブフィルタの容量を低減するための制御法を提案し,シミュレーションによりその効果を明らかにした。 以上の研究成果から,本システムを配電用系統に接続し,需要家へ高品質な電力を供給する高機能な電力変換装置として十分な能力を有していることが確認できた。このことは小規模分散電源の配電システムとしてマトリックスコンバータが十分使用可能であると考えることができるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
系統連系時のマトリックスコンバータの基本動作について,実機及びシミュレーションにより確認することができた。ただし,負荷が不平行な場合,マトリックスコンバータが発生する高調波補補償するためのアクティブフィルタの容量が増加してしまう問題があり,対策のための制御法の確立が必要であるという課題が残った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度に当たるため,マトリックスコンバータを用いた電力変換システムにおいて,高調波電流補償のためのアクティブフィルタの容量を低減するため,マトリックスコンバータの制御法の変更及び受動フィルタとの併用によって,高調波を低減し,シミュレーション及び実機でその効果を確認し最終評価を行う。
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