本研究はスマートグリッドの実現を目的として,配電系統の高品質化および安定化するためにマトリックスコンバータを用いた電力変換装置の利用を提案するもので,自然エネルギーを利用した分散電源システムの脈動電力の安定化と,需要家に高品質の電力を供給することを同時に可能とする手法である。 本年度は,単相用マトリクスコンバータによる電力変換時に,電源電流に逆相および三次高調波電流が流れるという昨年度の結果を受けて,制御法についての再検討を行った。その結果,電源電流に三次高調波電流のみが含まれ,逆相電流が発生しない制御方式を提案した。そして,この三次高調波電流を電源側へ流出させないように,入力側にパッシブフィルタを接続し,高調波電流の低減を行った。また,マトリックスコンバータが柱上変圧器の役割(電圧の変換と三相四線式から単相三線式への接地系の変換)を果たすことができるかどうかの可能性を確認するため,出力電圧制御法についても検討を行った。本システムは出力にスイッチングによるリプル電圧を低減するためのローパスフィルタを接続しているが,負荷の大きさにより出力電圧の大きさと位相が変化してしまう。本システムは180度位相のずれた100V用いて200Vを実現しているため,100Vの振幅と位相が異なると200V側の振幅が変化してしまうという問題があった。そこで,出力電圧の振幅と位相を検出し,それを下に振幅の大きさと位相を制御する方式について提案した。以上の結果について平成24年電気関係学会東海支部連合大会にて発表を行った。
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