研究概要 |
本年度は,初年度に行った「(1)現行方式に基づく効率的手法の開発」および「(2)静的実行可能領域の厳密解析」に基づき,将来系統の動的性能を考慮した「(3)動的実行可能領域の計算法の開発」および,臨界トラジェクトリー法を用いた「(4)不確定性許容値の感度解析アルゴリズムの開発」に関する検討を実施した。 それぞれの成果について以下に報告する。 【動的実行可能領域の計算法の開発】 将来系統においては自然エネルギーの大量導入がCO_2排出削減の重要な要素となっているため,需給調整能力に関しては,発電機の出力変化率などダイナミックな発電機特性が非常に重要になってくる。本研究では,現在議論されている周波数維持の観点に加えて,供給信頼度の確保の観点から動的実行可能領域を算出するアルゴリズムの開発を行った。研究成果として,自然エネルギー出力が急峻となる2時間帯10分間隔での信頼領域を算出することができたとともに,蓄電池の導入による信頼領域拡大の効果もシミュレーション結果より得られた。 【不確定性許容値の感度解析アルゴリズムの開発】 申請者が開発した臨界トラジェクトリー法は,一回の計算で臨界故障除去時間CCTおよびそのときの臨界状態を算出できるものである。ここで,故障除去時間をCTとすれば,M=CCT-CTとして,想定故障に対する安定性余裕Mとして取り扱うことができる。すなわち,理論的には,このMは当該運転点が信頼性を維持する上での自然エネルギー型発電の出力変動許容値Uに変換することができる。オペレーティングマトリックスをSとすると,U=f(M)=S・Mと表すことができる。本年度においては本理論の基礎構築を行うとともに,計算機シミュレーションによる評価を実施した。
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