平成24年度は以下の項目について実施し,研究成果をとりまとめた。 (5)実行可能領域の近似算出法の開発 小規模 の電力系統において想定故障を指定し,臨界トラジェクトリー法を適用して想定故障に対する安定性余裕Mを求める。さらに上記の感度解析を実施して行列Sを求め,オペーレーティングマトリックスSを使用したU = f (M) = S・Mなる関係式を用いてこのUを評価する。このとき計算されるUは,許容可能な不確定性の領域を表している。このような領域を全ての想定故障に対して算出し,それらの積集合を考えると,これが当該運用点における静的実行可能領域の近似値を与える。ここでは,このような感度解析により実行可能領域を算出し,これを前年度の(2)に基づく厳密値と比較し,手法の精度を評価する。 (6)将来系統における信頼度維持方式の新たな枠組みを構築 上記(5)の終了時点で,提案法は従来法とは異なり,予想運転点のまわりで不確定性を想定できる手法となる。すなわち許容できる不確定性の大きさが,個々に算出されるため従来法と比較して画期的な手法となることが予想される。そこで,ここでは提案法の解析結果に対して上述の(3)の手法を適用し,計算時間および計算精度面での限界を評価する。そして,この結果に基づいて将来系統における信頼度維持方式の新たな枠組みを構築する。 (7)研究のとりまとめ 上記3年間の研究結果を報告書にとりまとめ,新手法の有効性・効率性を示した。以上より,本研究の目的を達成した。
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