本年度申請書に記載した実施計画は次の3点であった。各々の進捗状況を以下に述べる。 1.電極空間に照射されたレーザ光を電圧印加に同期させて連続的に測定する方法を開発する。 ※CCDカメラを購入し、空間全体にわたって電界分布を測定するための光学測定系の構築に着手したが、光学系の配置や、電圧との同期、必要とするデータの取得方法およびその取り扱いなど、課題が山積しており、来年度も継続して行うこととなった。 2.データ処理プログラムの作成および電界分布再構成プログラムの改良に着手する。 ※CT法をベースに考案した再構成方法では、CT法と同様に、多方向からのデータを必要とするが、我々の測定システムを用いた場合、測定方向数が限られることから、再構成時に誤差が含まれていた。今回の研究の結果、「実投影領域」と「拡大再構成領域」という2つの概念を新たに取り入れることによって、再構成に必要な測定データ数が少ない場合でも、電界分布の再構成誤差を軽減させることが可能であることをシミュレーションと実験値を用いて示した。この結果については、学会で発表し、来年度に論文が掲載されることが決定している。本年度は電界強度について誤差を軽減することに成功したが、来年度は電界の方向についても検討したい。 3.液体絶縁体中に残る空間電荷(残留電荷)の評価方法を検討する。 ※現有の電解測定システムを用いて、残留電荷が存在する場合に電界がどのように変化するかを測定し、電界と電荷量との定性的な関係を検討した。これらの結果は、平成23年度に国際会議等で報告する予定である。
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