本研究は、体内埋込型のマイクロ医療デバイスやカプセル内視鏡への搭載を想定し、外部磁界によって経皮的駆動でき、かつ高吐出圧力特性を有するマイクロポンプの開発を目的とする。本年度は3年計画の初年度であり、提案する2つのポンプの拡大モデル(内径3mm)によって高圧力化のための方策を検討し、ポンプ設計法の確立を目指した。得られた成果は以下の通りである。 1.揺動型マイクロポンプ ポンプ特性が向上するためのポンプ可動子について、とくに弾性板に着目し条件を明らかにした。実験の結果、弾性板を適切な形状にすることで100ml/min以上の大流量が得られたが、吐出圧力は800Pa程度と低く改善を要することがわかった。そこで、複数個のポンプを直列に配置することで圧力増加を試みた。吐出圧力はポンプ個数にほぼ比例し、8個の直列配置において当面の目標値である6kPaを達成した。 2.ピストン型マイクロポンプ 可動子のピストンと振動子についてそれぞれ次の検討を行った。ピストンでは、従来の円柱状から、ピストン側面とシリンダー内壁の摩擦が小さくなるような形状に変更することで吐出圧力を増加した。振動子ではバネ部のバネ定数と耐久性を見直し、圧力増加に必要なピストンの往復運動の速度差を増加させることに成功した。この2つの改善によってポンプ単体で6kPa以上の圧力を達成した。 以上の1と2の成果より、両タイプとも機構を改良することで本研究の目指す高い吐出圧力が得られることがわかった。次年度以降も引き続き両タイプを取り上げ、更なる圧力向上と共に小型化を検討していく予定である。
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