本研究は、体内埋込型のマイクロ医療デバイスやカプセル内視鏡への搭載を想定し、外部磁界によって経皮的な駆動が可能で、かつ高吐出圧力特性を有する医用マイクロポンプの開発を目的とした。最終年の本年度は、前年度までに得られた2種類のマイクロポンプのうち、とくに特性向上が期待できる揺動型(弾性板の往復運動を利用したポンプ)を対象に絞って、高吐出圧力化に関する研究を行った。具体的な方策としては複数ポンプの直列接続を行い、結果として内径4mmの揺動型マイクロポンプを5個直列接続することで最大吐出圧力を10kPa以上まで向上させることに成功した。この直列接続の応用として小型の液冷システムを試作し、遠心ポンプを使用した従来技術よりもシステム全体を格段に小型化できることを実証した。 また、ポンプ駆動装置の改良では、3軸のヘルムホルツコイルを試作し、ポンプの駆動を確認した。本実験はカプセル内視鏡にマイクロポンプを搭載する場合を想定したものであり、体内におけるカプセル内視鏡の任意の姿勢に対応できることを実証した。また、ポンプ内の磁石を利用し、外部磁界でカプセルを回転させて薬剤散布の位置を調整することにも成功した。 これらの成果を基に本研究の総括を行った結果、外部磁界で駆動できるマイクロポンプの高吐出圧力化という当初の目的を達成したと判断できる。ただし、医用としては研究協力者の医師と議論した結果、更なる小型化が必要であるとの指摘があり、引き続き本研究を発展させていく予定である。
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