研究概要 |
本年度は、抵抗性素子を使って平面基板における電源グラウンド間の共振に起因するコモンモード放射の抑制効果について調べた。電源グラウンド平面からの放射を低減する方法として、主に電源グラウンド間にデカップリングキャパシタを配置し、電圧変動を抑制する方法がとられるが、共振位置が変化したり新たな共振が生じる。キャパシタに抵抗を接続することにより、共振が低減され放射低減効果がある。今回は、基板の大きさや厚さなどによる影響を調べた。また、共振の抑制効果を調べるために、電源グラウンド間電圧と、本補助金によって購入したワークベンチファラデーケージによって、共振時に生じるコモンモード電圧を測定した。125×100mm,250×200mmの大きさで、それぞれ3種類の厚みの基板を用意し、電源グラウンド間に30~1000MHz正弦波を印加した。基板の四隅に、キャパシタCに0~10Ωの抵抗を直列に接続したものを配置し、測定を行った。共振電圧の測定においては、基板厚が厚いと共振電圧が大きくなるが、いずれもCと0.1~1Ωの抵抗を接続した場合に電圧がほぼ同程度まで小さくなり、キャパシタと抵抗による共振低減効果が高いことがわかった。次に、コモンモード電圧の測定結果では、30~300MHzにおいて、同様にCと0.1~1Ωの抵抗を接続した場合で電圧が小さくなることがわかった。また、抵抗素子によるノイズ低減効果の応用として、基板の信号配線の下のグラウンド面にスリットがある場合に、スリットの周辺の導体に抵抗を持たせたときの信号波形歪み低減効果をシミュレーションによって調べた。その結果わずかに波形改善の傾向があることがわかった。
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