研究課題/領域番号 |
22560281
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
高橋 丈博 拓殖大学, 工学部, 教授 (10206815)
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研究分担者 |
澁谷 昇 拓殖大学, 工学部, 教授 (50114822)
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キーワード | プリント配線板 / 電源グラウンドノイズ / 損失性素子 / コモンモード / デカップリングキャパシタ / シミュレーション / ノイズ低減 |
研究概要 |
電子機器に搭載されるプリント基板の放射ノイズ低減手法の1つとして、ノイズの主要原因の1つである電源グラウンド平面の共振を抑制するために、基板の四隅に抵抗付きデカップリングキャパシタを配置したときのノイズ抑制効果を検討している。昨年度は実験基板を制作し、実測によって抑制効果を調べ、抵抗値とキャパシタンスを変えることにより、ノイズ低減効果が得られることを確かめた。今年度は、動作メカニズムを検討するために、理論的な背景を調査し、シミュレーションと実測を利用して、その検証を行った。平行平板の共振を平板間の損失によって低減する理論的な解析を調査し、代表的なものを2つ取り上げた。両者は、平板間の適切な損失を基板サイズなどから推定するものであり、これまでの我々の検討と方向性が一致しているが、対象とするモデルや損失の挿入方法が本研究のモデルと異なっており、また解析から得られる計算式もそれぞれ違いがあった。そのため、どちらの推定方法が本研究のモデルに近いかをシミュレーション及び実験で確かめた。両者とも、損失が基板の厚さに比例するが、基板の縦横のサイズに対して、反比例する、逆数の和に比例するという違いがある。実験では、基板の厚さ及びサイズが違う基板を用意し、四隅に接続する抵抗付きデカップリングキャパシタの抵抗値を変え、ワークベンチファラデーケージでコモンモード放射量を測定した。またシミュレーションにおいては、信号入射部におけるSパラメータと放射電界強度シミュレーションにより評価を行った。実験及びシミュレーション結果から、共振を低減する適切な抵抗値は、基板の厚さに比例し、また縦横の長さの逆数の和に比例する結果に近いことがわかった。この解析は、基板をモデルとしたものではなく、平行平板間隔が数cm程度と比較的大きい場合を想定したものであるが、基板の四隅の抵抗性素子を接続したモデルに適用可能であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、主にシミュレーションを用いて、実験結果や動作メカニズムの検証を行う予定であったが、シミュレーションの進捗が不十分で、損失量などの検討に至らなかった。シミュレーションは新規に導入したものを利用したが、予算の都合上、機能の制限やサポート受けられないなどがあり、試行錯誤などのために時間を費やし、十分に進捗しなかったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在積み残しとなっている、損失量の検討などについて優先的に検討してゆく。シミュレーションの実行については概ね問題がなくなったと思われるので、シミュレーション及び実験により、上記問題点を検討する。また、理論的な背景も明らかになったため、この点からも検討を行う。これらを背景に、有効な設計方法を検討してゆく。
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