研究課題/領域番号 |
22560287
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
木村 紀之 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00144428)
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キーワード | 風力 / 電気機器工学 / 誘導発電システム / インバータ励磁 / 低風速対応 |
研究概要 |
安価な、かご形誘導機に対して電圧形変換器を用いて励磁を行うことにより同期速度を自由に制御し、低風速での発電を可能にするシステムの実現可能性をシミュレーションと実験により探究した。 低風速での発電出力を最大にするため、最大出力追従制御系の構築とシミュレーションによる特性の検討を行った。高効率化のために誘導機の無効電力消費を最小化する電圧とすべりの設定を行う「無効電力最小化制御(Minimum Q control)」についても検討を行った。その結果、無効電力最小点が存在することと、電圧とすべりの決定式を導出した。この最適設計に基づき、誘導発電システム実験装置のAD変換、DA変換およびPIO入出力系による電圧・電流・回転数のセンシングと電圧形変換器の電圧・すべり周波数制御プログラムおよび高力率変換器の電力制御プログラムを作成した。 これらを既に製作済みの風車模擬装置に組み込み、「かご形誘導機の実験装置製作」を行い、基本的な動作確認を行った。これと並行して「かご形誘導機の実験機レベルのシミュレーション」を進め、電気学会・論文誌B No.2、Vol.132、 2012.において、「風力用電圧形変換器励磁誘導発電システムの電力制御特性解析」として、発電システムの構成法と制御法について発表した。 さらに、比較的損失の大きい誘導機の高効率化を目指し、「誘導機出力の最大力率制御の開発」をシミュレーションと実験の両面から行った。特に電圧・電流の計測とその演算処理が重要課題と考え、ソフト面での開発を行った。この検討内容については、国際会議「IEMDC-2011 (May. 17、2011)」において、Paper No. PS. 02.10として、成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度においては、最適設計に基づき、誘導発電システム実験装置を作成した。前年度製作の風車模擬装置を用いて、「最大出力制御の追従性」を実験的に検証するため、「かご形誘導機の実験装置製作」を行い、基本的な動作検証を行った。また、実験装置での電圧・電流の計測とその演算処理の基本部分での開発が完了している。さらに、比較的損失の大きい誘導機の高効率化を目指し、「誘導機出力の最大力率制御の開発」をシミュレーションで行い学会等への発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実験およびシミュレーションでシステム全体のパフォーマンスを確認する。 特に回転数の変動に対しての追従性能と出力の最大化についての検証を行う。 コスト面での利点を拡大するため、変換器の回路構成や制御方法についても検討を進める。
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