研究概要 |
本研究は低コスト・省エネルギープロセスとして静電スプレー堆積法を採用し,高効率な太陽電池を開発することを目指したものである,2層タンデム構造の理論効率が最大となるEg=1.5eVのCuInS_2,Eg=1.9eVのγ-In_2Se_3を候補とした.22年度はCuInS_2及びγ-In_2Se_3の伝導形制御と薄膜成長,多層薄膜成長を研究実施目標にあげて研究してきた. 1.CuInS_2の伝導形制御と薄膜成長については,成長条件を最適化した.ホール効果測定からCu/In比<1ではn形,Cu/In比〓1ではp形であることが判明した.また,Cu/In比=1.2の条件下での抵抗率の成長温度依存性や,Snをドープすると伝導形がn形に反転すること,抵抗率のドープ量依存性を明らかにした.なお,ホール効果測定では購入したソースメータを用いた.光吸収係数測定からEgのCu/In比依存性を明らかにした. 2.γ-In_2Se_3の伝導形制御と薄膜の成長については,主としてSe/In原料供給比=2.0のもとで成長温度と結晶性の関係について調べ,280℃が最適であることを示した.アンドープ結晶はn形で,抵抗率は100Ωcmオーダのものが多かった.Znをドープすることで伝導形がp形に反転した.抵抗率はドープ量に依存して減少すること,N_2中での熱処理で抵抗率が10^<-1>Ωcmオーダとなることなどが明らかとなった,Egは成長温度が240℃以上では1.94eVで一定であった 3.多層薄膜成長については,CuInS_2についてはpn接合の作製を試み,平坦な成長界面が得られた.r-In_2Se_3については,ZnO透明電極/n形In_2S_3/p形γ-In_2Se_3多層膜の作製を試みた.各薄膜層の成長がSEM観察から確認された.H23年度は多層成長薄膜の結晶性評価,ダイオード特性の評価を重点的に行う予定である.
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