研究概要 |
(1) 元素置換反応法によるp型Ca-Si系化合物の作製:Ca雰囲気中でMg2Siを熱処理する事によりCa2Siを作製した.本方法により作製するCaシリサイドは平衡相の三斜晶系であり、p型でゼーベック係数が大きい(~300μV/K)が高抵抗であるという問題がある.高抵抗の原因としては反応中の原料の酸化が考えられる.高真空が得られる真空装置を作製し原料の酸化を防いだ.生成されるCa-Si系化合物の成長温度依存性を調べ,単相Ca2Siの得られる作製条件を得た.原料としてMg2Si及びCaを用いた場合,概ね基板温度650度以下にて単相Ca2Siが得られた.また室温にて0.1S/cmの導電率を有するCa2Siが得られた.導電率の活性化エネルギーは0.13eVであり,計算で得られたCa2Siのバンドギャップ(0.3eV)と矛盾しない.(2)メカニカルアロイング法によりp型Ca-Si系化合物の作製と評価:本方法により作製するCaシリサイドは比較的低い抵抗(~0.1Ωcm)を示す.このCaシリサイドはCa-Si系の状態図にない立法晶系を示す.リードベルク解析により,格子定数0.5266A,空間群Fm-3m(#225)を有し,組成比が凡そCal3Si3の化合物となった.メカニカルアロイングという非平衡環境での化合物生成により,準安定状態である立法晶相が生成されたものと考えられる.ここで焼結プロセスについてはスパークプラズマシンタリング(SPS)法を用いた.SPS法による焼結の際にも概ね400度程度の処理温度におさえる必要がある事が分かった.
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