研究概要 |
1,元素置換反応法によるp型Ca系IV族化合物の作製において,新規に現れる未知相の探索のため,テンプレートであるMg2SiのMgを残留させる方法やGe, Snを添加する方法を試し,Ca(Mg)2Si(Ge,Sn)を作製した.作製した化合物のXRDスペクトルには,さらに未知の相の存在を示唆する回折ピークが現れた.Ca-Mg-Si(Ge,Sn)系化合物も Ca系IV族化合物の新規物質のひとつとして期待できる. 2,メカニカルアロイング法により作製したp型Caシリサイドの試料に関して高輝度放射光を用いて得られたXRDスペクトルより新規相の構造を検討した.新規相の構造はCa-Si二元系と仮定しては,示差熱・熱重量測定,赤外領域透過及び反射測定,ラマン分光の評価結果と矛盾しない構造は得られなかった.またこれらの評価法により新規相では,斜方晶(orthorhombic)Ca2Siに認められない物性の出現が確認できた.またCa系,Mg系以外のIV族化合物の生成も行い,Mg-Ge-Si系ナノロッド,CrSi2ナノワイヤバンドル, Mg2Si/MgOナノコンポジットバンドルの生成による材用のナノ構造化による新規物性の創出の可能性など進展があった.またナノレベルでの構造の変化を考察するためAg系ナノ構造の作成及び構造評価を行った. 本研究開始のきっかけとなったCaシリサイドの新構造同定については一部不明の点が残ったが.一方この解明の過程でCa-Mg-Si系,Mg-Ge-Si系,ナノ構造物質による新規物性出現の可能性がでてくるなど多くの進展があった.
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