電解重合法で作成されたニューロン型導電性高分子ネットワークにニューラルネットワークの機能を付加し素子としての基本特性を調べることを目的として得られた研究成果に箇条書きに示す。 1.信号によるパスの重み付けでは、導電性高分子のフィルムを用いたネットワークを作成し、教師信号に応じた重み付けになるように第3電極を用いて制御した。同様なことを実施のネットワークについても行った。また、この重み付けを論理回路を想定して変更して、AND回路とOR回路になるか、各信号を調べた。 2.上記論理回路動作の時、非線形特性として導電性高分子のヘテロ接合を利用した。このときの各パルスの大きさはヘテロ接合でのしきい値に依存させて、実験を行った。 3、ネットワークの規模を変えても重み付けはうまく行くことが確かめられた 4.これらの結果からニューラルネットワークの素子化に関する基本的特性は可能であることが分かった。また、重み制御の方法で、実際の神経回路網で重要になってくるシナプスの構造を模倣したものでも可能であることについての基礎的な実験も行い、接続部での重み付け制御について多様な方法が考えられることが示唆される実験結果を得た。これは今後のこの研究テーマを遂行していく上で、新たな選択肢を提供することになる 5.シナプス構造を模倣した回路の場合、2次側にヘテロ接合をした導電性高分子を用意することで、非線形特性を追加できる可能性があり、導電性高分子を用いたニューラルネットワークへの機能実現に関し、大きな成果が得られた。
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