ニューロン型導電性高分子ネットワークにニューラルネットワーク の機能を付加し素子として動作させるために(1)PCを用いることと(2)接続部にシナプス構造の導電性高分子を導入することで実際の神経伝達物質の働きを考慮した場合の仕組みが導入でき、素子化応用が出来るか調べた。得られた研究成果を箇条書きに示す。 1.PCから制御できる基盤Arduinoを使うことで制御信号を容易に入力できることが確認できた。これにより複数のArduinoをうまく配置し第3電極に信号を送るシステムを構築すれば導電性高分子ネットワークをニューラルネットワーク素子としての機能させることができることが分かった。また、ArduinoはPC側からの動作を記憶することが出来るのでPCから分離して使用も可能なため電解重合した個々の導電性高分子ネットワークの特性を調べていく基礎実験にも有用なことが分かった。 2.シナプス型構造を考慮して導電性高分子を配置すれば入力信号に応じてイオンを1次側から2次側へ伝達することが出来ることが確認できた。2次側の導電性高分子にヘテロ接合をしたものを用いて非線形特性を導入することで入力量/回数に対して2次側が明確なしきい値を持つように設定できることが確認できた。 3.しきい値はニューロン機能として重要なだけでなく、論理回路作成にも有用である。これを用いてシナプス型導電性高分子を持つ論理回路を作成し動作を確認した。 4.抑制シナプスの実現についても検討し、抑制シナプスに対応するように脱ドープした導電性高分子を設置しこの機能が原理的には可能なことを実験的に確かめた。
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