研究課題
酸化インジウムスズ(ITO)をレーザのクラッド層へ応用する検討を進めた。II-VI族半導体素子上にマグネトロンスパッタ法を用いてITOを成膜し、特性及び最適条件について調べた。その結果、成膜時の基板温度を以前の300℃から130℃に下げることで、素子の電圧電流特性における立ち上がり電圧が約3V低減し、注入電流は約9倍に増加するなど大幅な特性改善が得られた。一方、基板温度130℃においても80%以上の透過率が得られ、抵抗率も3~5×10-4ohm・cmであり、ITO自体においても充分な特性が得られた。また、ITOと接触するコンタクト層材料としてZnTeとZnSeTeについて検討した結果、ZnTeの方がZnSeTeよりも電圧電流特性の立ち上がり電圧が約2V低下し、ITOに対するコンタクト層として適していることが分かった。ZnTeコンタクト層上に130℃でITOを成膜した素子では700A/cm2以上の電流注入が可能となり、更にITOの代わりに金電極を施した素子の電圧電流特性と遜色のない特性が得られた。以上より、良好なITO透明導電膜の成膜に成功し、レーザへの応用の可能性が示された。一方、活性層材料としてBeZnTe/ZnSeTe超格子を開発した。この超格子は従来のBeZnSeTeと同じ構成元素を用いながら、組成や発光波長の制御性を大幅に改善できるという特長を有している。即ち超格子の各層厚を調整するだけで格子整合条件を維持したまま波長制御が可能となる。実際にBeZnTe/ZnSeTe超格子を作製しフォトルミネッセンス(PL)発光特性を評価したところ、ピーク波長が500nm~587nmの青色から黄色域において良好な発光特性が得られた。また、従来のBeZnSeTeと比べ4倍以上の発光強度の増加が確認された。以上より、黄色~緑色域レーザの活性層としてより高品質な材料が見出された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Crystal Growth
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10.1016/j.jcrysgro.2012.12.074