研究概要 |
平成24年度は、公布申請書記載の当初の目的(1) 1 Tb/in2以上の磁気記録媒体およびパターンメディアの磁化状態観察、に加えて、(2)観察分解能8 nm以下の実現、(3)探針の反転磁界計測技術の開発と1 kOe以上の高反転磁界の開発指針明確化、を目標に研究を推進し、以下の実績を得た。 (1)1 Tb/in2以上の磁化状態観察:1 Tb/in2は矩形状ビットでは25 nm x 25 nmとなる。本研究で開発した観察分解能8 nm以下のMFM探針を垂直磁気記録媒体とビットパターンメディアに適用し、1500 kFCI(ビット長:16.7 nm)の記録磁化状態と18 nm x 18 nm (2 Tb/in2)のビットパターンメディアの磁性ドット垂直磁化状態が分離して観察できることを確認した。これらの結果を国際会議(PRiME-2012, APMRC-2012)の招待講演で発表し、論文として公開した。 (2)観察分解能8 nm以下の実現:Siベース探針上に被覆する磁性材料と膜厚を検討し、CoおよびFeCo合金を20 nm厚被覆して作成したMFM探針の分解能で研究目標を超える7.5 nmおよび6.6 nmの分解能を得た。 (3)反転磁界計測技術の開発と1 kOe以上の反転磁界実現指針:既開発済の「同一個所の繰り返し高分解能観察技術」とMFM探針の磁界処理技術を組み合わせることにより、0.05 kOe精度で探針の反転磁界を決定する技術を開発した。この技術を用いて被覆磁性膜材料と膜厚が反転磁界に及ぼす影響を検討し、高磁気異方性を持つL10-FePd合金、L11-CoPt合金などを最適化された条件で被覆することにより、10 nm以下の高分解能と1 kOe以上の高反転磁界を達成できることを明らかにした。
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