研究課題/領域番号 |
22560303
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
清田 英夫 東海大学, 産業工学部, 教授 (80269109)
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キーワード | 窒化カーボン / 液相合成 / 低誘電率材料 / 大面積化 / 層間絶縁膜 |
研究概要 |
本研究の目的は、アモルファス窒化カーボン(a-CN_x)薄膜の液相合成技術を確立し、次世代LSI用low-k層間絶縁膜への応用可能性を検証することである。液相合成を実際のLSI製造プロセスに適用するためには12インチ(300mm)以上の大口径ウェハ上への堆積技術を確立する必要があるが、これまでの合成装置では構造上の問題で大きな基板が使用できず、液相合成のメリットが十分に生かされてこなかった。 本年度はこれまでに用いてきた合成装置に大幅な改造を施し、6インチ径までの大面積基板上へCNx膜が合成できる装置の開発を行った。新たに開発した合成装置では,横置きしたSi基板および電極を1-5mmの絶縁スペーサで固定し、大面積基板の全体にわたって電界が均一に印加されるような工夫をした。この装置を用いて、Si基板上への薄膜合成を試みた結果、最大4インチ(100mm)のSiウェハ全面にわたってCNx膜を合成することに成功した。また、液相合成に必要な印加電圧は従来装置では2000V-3000Vであったが、電極間距離を従来の10mmから2mmへ縮小することによって、400Vまで低減することができた。また、合成反応中に消費するエネルギーは、4インチウェハ上に成膜した場合でも16Wという極めて低い値であった。これより液相合成に必要な消費エネルギーは単位面積当たり0.2Wとなり、これは400mmウェハを用いた場合であっても、僅か250Wという低いエネルギーでCNxが成膜可能であることを示している。 以上の結果から、本研究で提案する液相合成技術は、新材料の開発やLSI製造過程におけるエネルギー消費を大幅に低減でき、より環境負荷の少ない薄膜製造技術であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、新たな合成装置の開発および成膜時のパラメータの最適化を中心に研究を行った。特に、合成時の印加電圧の低減および基板の大面積化を優先して実験等を行い、4インチSiウェハ上へ均一にCNxを成膜するという目標を前倒しで達成することができた。一方、CNx膜の低比誘電率化に関しては若干の遅れが発生した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究で、新規に開発した装置による成膜プロセスの最適化が概ね完了し、低電圧で大面積基板上へのCNx膜の量産が可能になった。今後はこの装置を用いて、様々な分子構造を持つ反応溶液によるCNx膜の液相合成を試み、それらの抵抗率や比誘電率の評価を行う。特に、合成条件,組成,不純物濃度等が比誘電率に及ぼす影響を調べ、low-k層間絶縁層に必要な低誘電率(k<2)を得るための最適な成膜プロセスを検討する。さらに、堆積直後のa-CN_xに対してプラズマや熱処理を行い、それらが比誘電率等に及ぼす影響を検討する。
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