1.カソード電極の材料・形状の検討 カソード電極上でマクロな電界集中効果を相乗させるために、カソード電極面形状をこれまでの四角形から鋭角な三角形に替えて、鋭角なコーナーをアノード電極に対向させた。この場合の発光ラインは鋭角コーナーからだけではなく、コーナー間の稜辺からも観測され、稜辺からの発光ラインの発光強度はアノードに対向するコーナー付近からのものと同等であった。これより、電界放出特性に大きく効果しているのはマクロな電界集中効果ではなく別にあると示唆された。 2.磁界印加による発光ライン変化の観測による電子エネルギーおよび放出電子電流経路の検討 本デバイスから多数の直線的なライン状の発光が観測されるが、基板に垂直に磁場を印加してデバイスを動作させたところ発光ラインが直線的からほぼ円弧状へと変化した。これより、発光ラインが電子伝導経路であり、また円弧の曲率半径から発光ライン中の電子は2-3keVという印加電圧の半分相当の高い運動エネルギーであることを明らかにした。伝搬電子のエネルギーが高さより、発光ライン形状を説明できた。 3.ナノロッドの種類による電気的特性と発光特性の違いの検討 放出電子はカソード端近傍において高エネルギー化するので、その先の進行経路にあるナノロッドからの電子伝導は電界放出機構に依らず、カソード端以外のナノロッド表面の電界放出特性は重要ではないと考えた。そこで、ZnS:Mn蛍光体をZnOナノロッド上に蒸着により被覆させたZnS:Mn/ZnOナノロッドアレイ基板をZnOナノロッドアレイ基板の横に配置させたところ、ZnS:Mnからの黄橙色の発光が得られ、この発光強度はZnOナノロッドアレイからの発光よりも高いものであった。多色化と高輝度化の手法として、一般的な蛍光体を蒸着などによる簡便な方法によりZnOナノロッド上に被覆させることが有効であることを明らかにした。
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