研究概要 |
単一の炭素六角網面で形成されるグラフェンおよびナノリボンを作成することを目的として,天然グラファイトの結晶に硝酸をインターカレーションした後,超音波により層間物質を膨張させて剥離し,グラフェンの生成を試みた.この結果2~50nm程度の大きさの単独のグラフェンを作成することができた.機能性炭素材料として使用するためには,さらに大きなサイズのグラフェンの生成が必要である.単層のシートであるグラフェンは不安定で,そのエッジは平坦では無く,他の物質を修飾するには,エッジ面をクリーニングするか,剥離前に修飾物質を負荷する必要性が考えられた.グラフェンの特定においては高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)を用いて行い,単一の炭素六角網であるグラフェンか,複数の炭素六角網シートが積層した薄いグラファイトであるかを見極める方法が確立できた.この透過電子顕微鏡(TEM)観察技術を用いて,グラフェンと言われている試料を入手し,グラフェンであるかを確認したところ,ほとんどのものは炭素六角網シートが積層したグラファイトであることがわかった,エネルギーデバイスへの応用のため,グラフェンを用いたカーボンナノコンポジット材料の作成を行う.グラフェンのコンポジットの状態を確認するため,3次元透過電子顕微鏡(3D-TEM)観察方法を検討した.金属粒子を担持したカーボンナノチューブに3D-TEMを適用し,金属粒子が材料の欠陥部分や炭素六角網面のエッジ部分に選択的に結合することがわかり,機能性材料作成のためのデータが得られた.また,エネルギーデバイスの電極の充放電実験を実施するための実験準備を整えた.
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