研究課題/領域番号 |
22560312
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
所 哲郎 岐阜工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (10155525)
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キーワード | シリコーンゴム / がいし / 撥水性 / 劣化診断 / 表面自由エネルギー / 温度依存性 / 表面粗さ効果 / 水滴立体形状 |
研究概要 |
1.電気学会調査専門委員会「屋外用ポリマー絶縁材料の性能評価・改質技術調査専門委員会」を幹事として、電力中央研究所の本間広也委員長と共に運営し、シリコーンゴムに代表される高分子電気絶縁材料の利点である表面の撥水性の診断・計測技術について、国際的な調査・研究状況を確認した。その結果、撥水性に関しては、その維持及び回復特性として、撥水性の時間的な変化を評価する新しい評価技術について検討することの必要性が明らかとなった。そこで、試料表面粗さの効果や試料表面温度の効果などの撥水性診断指標計測結果へ影響を与える各種因子について、その影響の時間的変化も含めて検討してきた。(この検討結果を研究会で発表し、電気学会論文誌に投稿した) 2.撥水状態の詳細な定量化手法に関しては、上記の調査専門委員会共通試料を用いて、試料に意図的な温度勾配や表面粗さ変化を与えるなどして、それらの影響を撥水性の時間的変化を含めて詳細に計測・定量化し、撥水性評価時の各種パラメータの変化による影響を逆に利用する画期的な撥水性の計測・評価手法について検討した。 3.本調査専門委員会共通試料を複数のメーカーにより作成し、充填材配合状態、吸水状態などをパラメータとして、撥水性を詳細に計測した結果、これらのパラメータの影響が、各撥水性の計測手法により必ずしも同じとは成らない可能性が示唆された。 4.撥水性の維持・回復能力を含めて、材料の経年劣化などを定量的に評価可能な新技術を開発する上で、水滴撥水状態の立体計測について検討し、いくつかの手法で成功した。最終年度では、この撥水状態の立体計測技術の完成度を向上させ、撥水性能評価システムの確立を推進していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水滴の立体形状の非接触観測に、観測範囲は限定されるが成功している。また、接触角法・スプレー法・DDT法について、試料温度や表面粗さの、各試料の撥水性評価結果への影響を詳細に観測する計測手法を確立することができた。水滴の立体計測の、接触角の計測範囲の拡大が望まれる。 撥水状態の時間的形成過程と、蒸発に伴う時間的乾燥過程は、実機器の劣化診断を行う上で極めて有益な情報を与える可能性が示唆されたので、最終年度に撥水性計測の各手法ごとに評価方法の完成度を上げていく。
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今後の研究の推進方策 |
水滴の立体形状計測に関しては、観測方向を試料面に斜めの方向からを採用し、形状評価用光源位置を複数にするなどして、非接触での撥水性観測による撥水性評価指標の定量化を更に改善する。撥水性の温度依存性と表面粗さ依存性については、同一試料面に温度分布や粗さ分布を与えることにより、同一の試験(撥水性形成)条件での観測を進める。これらの結果を調査専門委員会の他の研究機関による同様なまたは異なる試験結果と比較検討する事により、劣化診断技術と表面物性制御技術の更なる発展を目指す。更に、これらの結果は、電気学会調査専門委員会技術報告としてまとめ、広く公開することを目指す。
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