研究課題/領域番号 |
22560316
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
島村 清史 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, グループリーダー (90271965)
|
研究分担者 |
ビジョラ ガルシア 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, 主任研究員 (90421411)
|
キーワード | 磁気光学結晶 / ガーネット型単結晶 / 光アイソレーター / ベルデ定数 / 透過率 / 性能指数 / 単結晶育成 / レーザー加工機 |
研究概要 |
近年、精密加工用レーザー加工機の普及に伴い、各種レーザー光源には高出化が求められると同時に光源の安定化と破壊防止への対応が必要とされている。光アイソレーターは光源の安定化と破壊防止を担う重要なデバイスの一つであり、光源の高出力化に伴いその重要性が更に増している。そのためレーザー耐性を有し、幅広い波長域で利用可能な光アイソレーター用の材料が必要とされている。従来、適度な特性を有するTb_3Ga_5O_<12>(TGG)単結晶が注目を集めてきたが、様々な問題点も指摘されている。Tb_3Al_5O_<12>(TAG)はTGGよりも大きなベルデ定数を示すが、非調和溶融組成を持つため現実的ではなかった。そこで本研究ではこれらの問題を解決する新しい磁気光学単結晶の開発を目的とし、実用化の前段階となる試作品の製作を目指すこととする。 前年度に設計した{Tb_3}[Sc_<2-x>Lu_x](Al_3)O_<12>(TSLAG)に対し、本年度はCZ法により大径化を試みた。その結果直径30mm以上のサイズにしてもクラック等の発生がなく、また加工時にもクラックの発生がなく、安定な結晶であった。得られたTSLAG単結晶は優れた透過率とベルデ定数を示した。本研究で目的とする光アイソレーターは高出力レーザーに耐える必要があるため、破壊試験を実施した。波長1080nmのCW高出力レーザーを直接TSLAG、TGG単結晶に入射したところ両結晶の温度も上昇したが、TSLAGの温度は常にTGGよりも低かった。300WのレーザーをTSLAGに照射しても何の変化も見られなかったが、TGGにおいては照射した瞬間に結晶が砕け散った。これらの結果からTSLAGはTGGと比べ、格段に高いレーザー耐性を持つことが分かった。更にTSLAGを用い実際の光アイソレーターデバイスを製作し、評価した。TGGは消光比が30~35dBが市販品の性能であるが、TSLAGの場合は平均して40dB以上、最大で46dBを示した。レーザー光の形状変化も測定した結果、変化がほとんどないことが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初目的の一つとしていた実デバイスの試作において、既に1080nm対応の光アイソレーターデバイスを製作し、その特性が従来製品であるTGGベースのデバイス特性を大幅に凌駕したため。
|
今後の研究の推進方策 |
TSLAGの実用化には更なる大型化が必要となる。そのため、更なる大型化を図る。同時にTSLAGのみでなく、更なる新材料の設計と実証を行う。また1080nmに限らず、他の波長においてもデバイスの試作を進める。
|