マイクロストリップ線路で作製された超伝導フィルタの耐電力は小さく、送信用フィルタに応用することができない。フィルタの耐電力は、マイクロストリップ線路端に流れる集中電流の大きさで決まる。従って、フィルタの耐電力を大きくするのには、その集中電流を低減することが重要である。本プロジェクトは、3次元マトリックス線路フィルタの耐電力を測定し、その線路がフィルタの耐電力向上に有効かどうかを検討するものである。 3次元マトリックス線路フィルタは、 NbN/AlN/NbNの3層膜をドライエッチング法により加工し作製した。ドライエッチングで加工するとき、マイクロストリップ線路の長手方向に細かい溝を入れ、 3次元マトリックス線路を形成した。そのフィルタの耐電力を測定した結果、通常のマイクロストリップ線路フィルタの耐電力よりも 3.1dB向上することを見出した。これは、 3次元マトリックス線路端の集中電流が軽減したことを意味し、 3次元マトリックス線路は超伝導フィルタの耐電力を向上させるのに有効であることを明らかにした。
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