研究課題
本研究の目的は液体クラスターイオンビームを用いた半導体基板加工の実用化のためのビーム量増強であり、これを中性クラスター生成量の増加により達成しようとしている。中性クラスターの生成は真空槽中に設置した液体容器に液体エタノールを封入し、ヒーターを用いて過熱し、気化した蒸気を超音速ノズルを通して真空槽中に噴射することにより行うが、真空槽中の圧力を低く保つ事と、より多くの蒸気を噴射する事が必要である。そこで平成22年度は真空槽の排気装置のうちロータリーポンプを約5倍の排気能力を持つものに更新し、また真空槽-メカニカルブースターポンプ間を繋ぐダクトの長さを約4割短くし、メカニカルブースターポンプ-ロータリーポンプ間を繋ぐ管のコンダクタンスを30倍以上改善した。これにより大幅な排気能力の向上が見込まれる。次に従来液体容器で用いてきたオーリングシールを用いず、金属ガスケットのみを使用した液体容器及び既存の真空槽に液体容器を設置するための部品を設計、製作した。既存の真空槽に設置可能で、かつ十分なドーズの照射を可能にするために、液体容器の容量は既存の容器の3倍以上にした。また、オーリングシールを避けるために、既存の装置ではガラス製ラバールノズルを用いていたのに対して、金属性コニカルノズルを金属ガスケットを用いて固定する方法を採用した。これにより液体容器を加熱可能な最高温度が向上したので、既存装置に比べて高いエタノール蒸気圧を得ることが出来る。以上により生成される中性クラスターの量を増加させる事が可能になったと考えられる。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (17件)
Trans.MRS-J
巻: 35 ページ: 781-784
巻: 35 ページ: 777-780
Vacuum
巻: 84 ページ: 1419-1422
Thin Solid Films
巻: 518 ページ: S2-S5
AIP CP1321, Ion Implantation Technology 2010
ページ: 310-313
ページ: 456-459
Proceedings of IPAC'10
ページ: 133-135
ページ: 136-138
信学技報IEICE Technical Report
巻: SDM2010-197 ページ: 69-72