本研究ではサファイブ上に成長させたAlGaN/GaNヘテロ構造に基づいてpHセンサの開発やpHセンサの細胞培養環境を実時間あるいは経時的に監視方法への応用を目的とする。今年度では、耐環境デバイス電極の開発、AlGaN/GaNヘテロ構造を用いたpHセンサの設計、マスク設計、プロセス試作、実装とデバイスの評価を行った。(1)耐環境ショットキーゲット電極の開発を行った。スパッタ装置を用いて、アルゴンと窒素の混合ガスの雰囲気で、DCマグネトロン反応性スパッタリングによりTiNの成膜は行った。XRD分析によりTiNが形成されたことを確認した。高温長時間で処理したTiNショットキー電極を評価し、障壁高さ、理想因子の温度処理依存性を示した。850度、数分間の高温処理があってもトランジスタが動作できることがわかった。従って、TiNは高温に耐えるショットキー電極として有望であることが判った。(2)サファイア基板上にAlGaN (24nm)/GaN (3μm)ヘテロ構造を成長させたエピを用いてpHセンサ素子の設計、試作を行った。pHセンサ素子の測定用ホルダーを設計し、実装も行った。(3)溶液中のpH値を変化させながらデバイスの電流を測った。通常のトランジスタと同様の電流・電圧特性が確認できた。pH値を3.2~11.5まで変化させると、しきい電圧が正方向にシフトすることが確認できた。pH値におけるしきい電圧の平均変化量は58.33mV/pHが得られた。樹脂保護膜よりSiO_2保護膜の場合にはリーク電流が多いこともわかった。保護膜としてのポリイミド実験を行っている。(4)前期試験として、協力研究者である京都大学物質-細胞統合システム拠点のChenグループで、GaN結晶上に細胞培養を行った。GaN上に細胞の培養ができたことを確認した。
|