光ファイバヒューズ現象に関する安全指針は、光ファイバ通信システムの構築や運用に携わる従事者の安全(網膜や水晶体損傷、火傷))を守るために非常に重要であると共に、同現象が発生しても安全上問題のない光部品の開発(実装法の改善等)や光ファイバの実現につながる。 平成22年度は上記項目に関して、検討を行い以下のことを解明した。 1)一部に光ファイバヒューズによって形成された空孔が存在する光ファイバに再度、高強度光が入射した場合の光散乱特性を検討し、散乱光によって光ファイバが加熱100度以上の高温に加熱され火傷等の危険性を有すると共に、さらに入射する光強度が増加すると最終的には光ファイバ被覆が燃焼し火災の危険があることを明らかにした。 なお、燃焼に関しては光ファイバ被覆に難燃性材料を用いることで延焼を抑えられることも確認した。 2)空孔が存在する光ファイバに再度、高強度光が入射した場合の光散乱特性を検討し、最大の散乱方向はファイバヒューズ形成パワー及びUVコートの有無に異存なく、空孔先端で大きく散乱され、その散乱角度は~160度(光が入射するファイバ軸を零度とした場合)であることが分かった。また、2D-FDTD(Two-Dimensional Finite-Difference Time-Domain)法を用いることで本散乱特性の理論的解析できることを明らかにした。 さらに、UVコートを有する光ファイバから散乱される最大の散乱光量は、光ファイバに入射される入射光量が数W程度であればクラス1Mとして取り扱うことが可能であることが判明した。 また、本評価技術、結果をIEC(International Electrotechnical Commission)の標準化文書に盛りこむため、その前段階である一般財団法人光産業技術振興協会(OITDA)の技術資料作成の検討を開始した。
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