光ファイバヒューズが発生すると、光ファイバのみならずそれに接続する機器を破壊して、使用不可能となる。このため、光ファイバヒューズの発生を的確に検知し、光ファイバに接続する機器を破壊する前に確実に停止する方法が必要不可欠である。H23年度の研究成果では新規の光ファイバヒューズ検知・停止装置を提案すると共に基本動作の確認を行った。本装置は光ファイバの側面にレーザ光源に向かって進む特有の発光(可視光)を観測してレーザ光源を停止する構成である。本年度は同装置の設計指針を明らかとするために、レーザ光源に向かって進む特有の発光(可視光)の基本特性を解明した。以下に得られた成果を示す。[放射パターン]:レーザ光源に向かって伝搬する発光(可視光)の放射パターン特性を、世界で初めて評価すると共に、発光(可視光)を観測するためのフォトダイオード(PD)の受光面を光ファイバの軸方向に水平に配置することで、最大のPD光電流が検出できることが明らかとなったを明らかにした。[PD光電流特性]:光ファイバヒューズ形成光量および1/((光ファイバとPD受光面と距離)の2乗)に比例することが判明した。本結果を基に、光ファイバヒューズ検知・停止装置を作製し、確実に動作する装置が実現できることを確認した。 さらに本年度は、光ファイバヒューズによって散乱されるレーザ光の放射パターン特性を世界で初めて明らかにすると共にその安全性に関して検討した。以下に得られた成果を示す。[放射パターン特性]:指向性が低いことを明らかにした。[安全性]:レーザ製品安全基準に基づき散乱光の放出限界レベル(AEL)を検討し、ファイバヒューズ伝搬中に散乱される散乱光は JIS C 6802 (IEC 60825-1)2005で規定されているクラス1の管理レベルであることが判明した。本結果はファイバヒューズの安全性に関する重要な結果となると考える。
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