研究課題
本研究では、フォトニック結晶やメタ・マテリアルをマイクロ波・ミリ波の導波管に適用し、新しい機能を持った導波管デバイスを提供することを目的とし、低い周波数帯ではそのまま通過するモード変換器を、他のモードで出来ないかを設計で確かめると同時に、応用を考える。まず、最初の成果として、メタ・マテリアルのように比較的自由度のある磁性特性を持つ物質が、容易に作製できたときに、それらを誘電体と組み合わせた物質の特性を計算することが必要となる。そこで、教育用にWinows◎上で動作するソフトを作成した。これは、誘電体および磁性体を組み合わせた多層薄膜に電磁波が垂直に入射したときに、反射、透過、損失がどの位になるかを計算できるもので、メタ・マテリアルの他に光波帯での金属薄膜や、電磁波吸収体などの設計にも使用できる。次に、前年度までに周波数に依存するTE10-TE20モード変換器、それらを組み合わせたTE10-TE40モード変換器をすでに考案している。今年度は、TE10-TE30モード変換器を考案した。原理は、フォトニック結晶のバンドを計算するときに用いられる逆格子の概念を取り入れたものである。導波管内に周期的に配置された誘電体棒により、導波管内を伝搬するモードの特性を変化させることができる。このため、誘電体棒の誘電率と周期は変えずに、位置と太さを変化させることで、モードの形状と群速度を徐々に変化させて反射を抑制させ、周波数依存性を持たせた所望のモードに変換させることができた。
3: やや遅れている
申請した予算より、約3割減額されて交付された。そのため、申請時に予定していたツールが、分割納入が不可のため購入不能となり、計画変更を余儀なくされた。しかし、そのツールを購入できれば研究が速く進むことがわかったため、薪たに県費の予算を加えて合算使用することの申請を行ったが却下された。従って、別のツールを購入し使用しているが、若干使い勝手が悪いため、進捗がやや遅れている。
新しい構造として、3次元化を考えている。一つは、どの方向からの磁界に対しても共振周波数が同じになる構造で、しかも2次元の構造で実現でき、理論的にはある程度詰めて良い感触を得ている。もう一つは、2次元の構造を波長より十分小さくし、サイコロ状に切断して混ぜ合わせることで、どの方向から見ても等質になるような構造である。これは、パターン化は容易であるが、それをどのように切断するかが難しく、壁開のできる結晶上にパターンを描くことをまず考えている。
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応用物理教育
巻: Vol.35,No.1 ページ: 29-34
IEICE Transactions on Electronics
巻: E94-C,No.11 ページ: 1794-1797
DOI:10.1587/transele.E94.C.1794