研究課題/領域番号 |
22560337
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
榎原 晃 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (10514383)
|
キーワード | 応用光学・量子光工学 / フォトニックネットワーク / 電気光学光変調器 / 電気光学結晶 / 光SSB変調 |
研究概要 |
本研究では、大容量光ファイバ通信システムにおける主要デバイスである電気光学変調素子(EO変調素子)において、変調信号を処理するためのマイクロ波回路を同一光学基板上に集積化・一体化することによって、変調素子を飛躍的に小型化・高機能化し、動作の安定化を図ることを目的としている。具体的には、EO結晶であるニオブ酸リチウム(LN)基板上へのマイクロ波回路の設計手法の確立し、LN基板上で変調電極とマイクロ波回路とを一体化するための技術課題を解決することによって、光SSB変調や光FM変調等の高度な光変調動作を可能とする非常に小型で高機能なEO変調素子の実現を目指している。 23年度は、まず始めに、コプレナー構造の90°ハイブリッド回路(ブランチラインカップラ)およびラットレース型分配器をLN基板上に設計し、試作・評価を行った。これは、光変調電極がコプレナー線路構造を有しているので、回路と変調電極との接続を考慮したものである。また、実際に、これら回路と光変調電極とをLN基板上で直接接続した一体化構成の変調電極の設計し、電磁界解析により構造の最適化を行った。さらに、0.5mm厚のLN基板上に、中心周波数10GHzのブランチラインカップラ(BC)およびBCと一体化された変調電極を、厚さ1μmの金薄膜で形成し、特性評価を完了した。現在はマイクロ波回路と変調電極との接続部分での損失を改善と、実際の光変調素子の設計試作に取り組んでいる。 試作・評価では、必要に応じて、共同研究先である情報通信研究機構の実験設備を借用し、研究の加速と経費の節約を行っている。また、研究成果は、論文投稿や国際会議、学会等で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
90°ハイブリッド回路との一体化構成の変調電極の設計試作までを予定通り完了しており、最終年度は、特性の改善と、実際に光変調素子を試作し、特性を評価することにより、本研究の目的が達成される。また、途中段階の研究成果も既に発表している。
|
今後の研究の推進方策 |
予定通り、進めていく予定である。ただし、光変調素子の試作・評価では、研究代表者の所属する大学の設備だけでは対応できないところがあるが、共同研究先である情報通信研究機構の実験設備を積極的に借用し、研究の加速を行う。また、検討している変調素子の光変調方式について、光SSB変調の他に、将来の大容量通信に必要とされるQPSKやOFDM変調方式への応用の可能性を検討する予定である。
|