研究課題/領域番号 |
22560340
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
山田 顕 東北学院大学, 工学部, 教授 (80134021)
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キーワード | 波動利用工学 / センシング / エバネセント波 / エネルギー閉じ込め / 超音波センサ / 圧電振動子 / 水位計測 / 等価回路解析 |
研究概要 |
1.異なる2つの閉じ込め形態の利用可能性についての検討 エネルギー閉じ込めには「周波数低下型」と呼ばれる通常の形態のほかに「周波数上昇型」と呼ばれる特別な形態のものがある。これらはそれぞれ共振点付近および反共振点付近で良好な特性が得られることから、液面レベルの変化に対し周波数低下型では共振点でのθ値の変化を、周波数上昇型では反共振点での8値の変化をそれぞれ調べた。その結果、両者ともほぼ類似した変化が認められ、利用の可能性が確かめられた。なお、センシング部分が電極で覆われる構造の後者では被検体溶液の電気的性質の影響を受けにくいため、特性が若干異なることが明らかになった。 2.閉じ込めの非調和振動モード利用時の特性変化の調査 周波数低下型の閉じ込めでは圧電板の板厚に対し中央の電極寸法を大きくすると基本モードのほかに非調和高次振動と呼ばれるモードが発生する。また、周波数上昇型では無電極のギャップ幅を大きくすると非調和低次振動モードが生じる。基本モードとこれらの非調和振動モードを用いた場合のセンシング特性の違いを実験により調べたところ、エバネセント領域での減衰特性の差異を反映し、予想されたように非調和振動モードでは基本モードより幾分緩やかなセンシング特性を示すことが明らかになった。 3.センサの電気的等価回路の構築と特性評価への応用 圧電板に沿って伝搬する厚み振動モードの分布定数等価回路表示を用い、本センサの電気的等価回路を構築した。センシング部分であるエバネセント領域が液体に浸漬されることで生ずるエネルギー消散を回路素子への抵抗付加の形で導入し解析を行ったところ、実験結果とほぼ同じ傾向の特性変化が得られた。本シミュレーション手法の有効性が検証されたので、今後は液体付加の効果をより適切に取り込むための回路表現を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目的達成のため立案した研究計画に沿って研究を進めており、所期の研究成果が得られている。このことから「おおむね順調に進展している」と判断するものである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度として、今後は昨年度に引き続きセンサの電気的等価回路による特性評価手法の完成度を高め、素子の設計に役立てていく。同時に有限要素法解析の導入によるセンサの特性解析も試み、実験結果と比較検討する。最終的には得られたセンサの総合的な特性評価を行う。
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