平成24年度に確立したダマシン型自己整合メタルダブルゲート低温poly-Si TFTのプロセスを利用し、n-chおよびp-chのTFTの作成を進めデバイス性能評価を行った。その結果、n-chでは(みかけ)移動度530 cm2/Vsとs値140 mV/dec、p-chでは(みかけ)移動度135 cm2/Vsとs値150 mV/decを実現した。この性能はガラス上に低温プロセス(550℃)で形成されたデバイスの性能としては世界トップレベルである。一方、しきい値はn-ch、p-ch共に-1.0(V)付近にある。この点を解決するためにダマシン型自己整合メタルダブルゲート低温poly-Si TFTのプロセスを改良し、上下のメタルゲートを分離して4端子で駆動できるプロセスの開発をスタートした。デバイス性能はまだまだ不十分であるが、上下ゲートの独立動作の確認まで行うことができた。 近年、次世代ICT技術としてフレキシブルエレクトロニクスが注目されている。研究代表者は、透明フレキシブルガラスに注目し、移動度300 cm2/Vsを有する低温poly-Si TFTを実現し、透明フレキシブルガラス上でVdd=3.0(V)において電圧利得33、論理しきい値1.65(V)を有する低温poly-Si CMOSインバータを実現することに成功した。
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