光通信システムでは、光源に用いられる半導体レーザの発振安定化のため、光非相反素子である光アイソレータは必要不可欠である。近赤外領域では、光アイソレータを構成するとき、磁気光学効果の大きな磁性ガーネットが用いられる。本研究は、ガーネット基板上に半導体導波層を有する光非相反素子を構成した後に半導体レーザを集積化させるガーネットフォトニクスにより、光非相反素子集積型半導体レーザを開発することを目的としている。 ガーネット基板上にrfスパッタリングによりSiを成膜して、Si膜の特性を評価した。また、ガーネット基板上に成膜された磁性ガーネット膜の上にSiを成膜して特性を評価したところ、ガーネット基板上に直接成膜したSi膜と同等の特性を有することが確認された。 測定により得られたSi膜の屈折率をもとに、磁気光学導波路で得られる波長1.55μmにおける非相反移相効果の大きさを計算した。空気/Si/磁性ガーネット構造の磁気光学導波路における非相反移相効果の大きさは、導波層であるSi層の厚さが0.19μmの時に最大となり、波長1.55μmで約8.2rad/mmであり、極めて大きな非相反移相効果が得られることが分かった。実際に製作される磁気光学導波路は空気/Si/磁性ガーネット/ガーネット基板となるので、ガーネット基板上に成膜される磁性ガーネット膜の厚さに対する非相反移相効果の大きさを計算したところ、磁性ガーネット膜厚が0.3μm以上で非相反移相効果の大きさは一定となることが明らかとなった。
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