研究課題
光通信システムでは、光源に用いられる半導体レーザの発振安定化のため、光非相反素子である光アイソレータは必要不可欠である。近赤外領域では、光アイソレータを構成するとき、磁気光学効果の大きな磁性ガーネットが用いられる。本研究は、ガーネット基板上に半導体導波層を有する光非相反素子を構成した後に半導体レーザを集積化させるガーネットフォトニクスにより、光非相反素子集積型半導体レーザを開発することを目的としている。光非相反素子の一つとして、非相反移相効果を利用した光アイソレータについて検討した。この素子は、ガーネット基板上に磁性ガーネット膜を成膜し、その上に導波層となるSiを成膜することで得られる磁気光学導波路を利用する。光アイソレータは、光分岐結合器、非相反移相器、相反移相器により構成されるマッハツェンダ干渉計を有する。これまでの測定により得られた材料定数をもとに、磁気光学導波路を伝搬するTMモードに生じる波長1.55μmにおける非相反移相効果の大きさを計算し、非相反移相器を設計した。また、光分岐結合器として1×2型MMIカプラを設計した。導波路の等価屈折率を計算し、得られた値から相反移相器を設計し、光アイソレータ全体の設計を完了した。半導体レーザと光非相反素子を集積化させるための基礎実験として、異なる材料同士の貼り合わせを試み、Siとガーネット結晶等の組み合わせで、再現良く貼り合わせが実現されることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書において、今年度の研究実施計画として、非相反移相効果を利用した光アイソレータの設計、光分岐結合器の試作及び評価、Siと化合物半導体のウェハボンディングを実施することとしていた。この中で、光アイソレータの設計、光分岐結合器の試作、ウェハボンディングの基礎実験は完了しており、光分岐結合器の評価のみ、今後の検討課題として残っている。
まずは試作した光分岐結合器の光学的な評価を実施する必要がある。光分岐結合器の評価の後に、光アイソレータ全体を試作し、光学的な特性を評価する。半導体レーザと光非相反素子の集積化のために、各構成要素の最適設計を完了するとともに、並行して異種材料の貼り合わせの実験を推進する。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 50 ページ: "078001-1"-"078001-2"