偏波変換・制御デバイスを解析する数値解法の開発・改良を行い、基礎的構造を解析、検討した。まず、TM透過、TE遮断導波路型偏光子を開発した。バッファ層の屈折率を変えることで、TE透過、TM遮断型にも変更できる柔軟性のあるデバイスを設計し得た。次に傾斜入射に対応した周期構造用FDTD法の開発を行った。分散性媒質を含む場合を取り扱い、金属薄膜と誘電体グレーティングの複合構造からなる偏光子を提案した。周期構造と表面プラズモン励起の特長を活かし、結果として、17dB以上の消光比が1.5μmから1.75μmの広帯域で得られた。また、消光比特性が光波の入射角に対して鈍感である利点を確認した。さらに陰的手法の特長を活かした、周期構造用の局部1次元(LOD)FDTD法をも導出し、傾斜入射時に適用できるようなアルゴリズムを確立した。応用例として、TM波を選択的に反射できる1次元周期広帯域ミラーを解析した。 ビーム伝搬法(BPM)に関しては、パワー保存型アルゴリズムを再点検し、従来のセミベクトル型をフルベクトル型へ拡張した。具体的には、電界と磁界の両方のフレネル方程式を平行して解き、ポインティングベクトルを用いてパワーを評価する手法を考案した。応用例として、シリコン細線導波路と石英系導波路とを接続するスポットサイズ変換器、テーパ型偏波変換器をとりあげ、パワーの相反性が保たれていることの確認から、解析手法の妥当性を証明した。最適構造の探索は来年度の課題としたい.
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